貴方ガおれニ呪縛ヲカケタ

幾重ニモ鎖ヲ巻キツケテ

逃ゲラレナイヨウ繋ギ止メタ

貴方ガコノ手ヲ放サナケレバ

おれハ永久ニ貴方ノ傍ニ――


木に頭を預けるようにして飛影は眠っている。

何日も、飲まず喰わず、一睡もせずにあちこちを走り回っていた。
疲れているだろうと、眠るように蔵馬は言ったのだが、彼は言うことをきかなかった。
乾ききった喉を潤し、食べ物を腹に納めれば、さすがに耐えられなかったのか、うつらうつらとするのだが、すぐにはっと目を開いて蔵馬を振り返る。

おそらく、蔵馬が眠っている間にどこかに消えたりしないかと、そう心配しているのであろう。

そう悟った蔵馬は、自分はどこにもいかないからと、飛影の隣に寄り添うようにして腰を下ろした。
だが飛影は信じていないようで、訝しげに蔵馬を見上げる。


『どこかへ行こうと思ってもね、行けないんですよ』


そう言って、蔵馬は自分の足を示した。
見れば、透けた足に鉄製の錠がはめられている。

そこに太い鎖が繋がっていて――……端は、飛影の手に握られていた。

『貴方がオレをこうやってこの世に繋ぎとめている。
だからね、飛影。
貴方がオレを必要としなくなる限り、オレは貴方から離れたくても離れられないんですよ』


にっこりと微笑まれて、飛影はバツが悪そうにふいとそっぽを向く。

そっと顔を覗き込んだ時には、すでに規則正しい寝息を立てていた。


そう、貴方がこれを放さなければ、オレはずっと傍にいる。


触れられない指が、それでもぬくもりを求めるように飛影の頬を滑る。


『どうか放さないで、飛影――』


囁くように、肩に顔を埋める。


繋ギ止メタノハ貴方、ケレド、望ンダノハ――

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