(飛←蔵/若干蔵飛テイストかも)

「飛影、こんなところで寝てると冷えますよ」
そう言って、ソファに横になっているその肩を揺するが、一向にその眼を開こうとはしない。
小さくうめいてころりと寝返りをうったかと思ったら、またすやすやと穏やかな寝息を立て始めた。
眠りが浅いのか、いつもなら(黒龍を喰った後、冬眠状態に入っている時以外は)少しの物音でも目を覚ますのだが。
「やれやれ…」
どうやら珍しく熟睡しているらしい。そっと取ってきた毛布を掛けてやってもぴくりともしない。

――……かわいい。

普段なかなか見られない無防備な彼の姿。
自分よりもずっと幼くて小さな彼は、普段、隙の無い鋭利な眼差しと、何者をも寄せ付けようとしないオーラでそれを覆い隠している。
未だに、自分の前でもそれを完全に取り払うことは滅多に無い。
だからふとした瞬間、こんな一面を見せられると、どうしようもなく嬉しくなってしまうのだ。
悪戯心にそっと髪に触れてみる。
少しかためのそれは手のひらをつついてくすぐったい。
赤い視線は、今は瞼の下。
ガラス球の中に焔を閉じ込めたような瞳が好きで。
それを想い、そっと目の縁を指でなぞる。
滑らかな頬を辿り、唇へ。
あまり多くを語らないそれ。
彼自身のことは特にそうだった。
きっとまだ、自分は彼の歩んできた時間の半分も知らない。
そして彼の心さえ、何も解かっていないのではないだろうか。
「………キミが、知りたい」
今は、かなわなくても。
これから共に歩む長い時間の先に、彼がいつか、すべてを教えてくれる時が来ればいい。
「起きるかな……」
さすがに少し、恥ずかしい気がしたが。
そこに一つ、優しいキス。
オレのハニーへ、願いを込めて。

Dear My Honey

2003?〜2006


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